やさしさに包まれたなら
ホンモノは色あせない
「着ていることを忘れてしまう」というのはオールユアーズの製品コンセプトですが
20年30年経っても良いと思えるものを作る。
50年経っても価値があるものを作る。
これがオールユアーズのモノづくりする上での最大のテーマです。
だからこそ私たちは、トレンドなどの「変わりゆくもの」よりも、どんなに時代が変わったとしても「変わらないもの」に強く惹かれます。
この世界には、重力から魂を解き放たれたニュータイプのように、最もその事象を風化させる要因である「時間」を超越してしまった製品が存在します。
それはThe Beatlesの作品群や、LEVI'Sの501®︎、バーバリーのコート、LeicaのM、虎屋の羊羹などのことで、場所や時間さえ超越するユニバーサル(普遍)、あるいはエターナル(永遠)な価値を持っています。
そういうものを私たちは「ホンモノ」だと考えます。
オールユアーズのモノづくりは、この「ホンモノ」を目指して製品開発に取り組む試行錯誤のプロセスと言えます。私たちの野心はこの一点にあると言っても過言ではありませんが、このゴールは自分たちが決めるものではなく、着てくださる人たちに評価され続け、残酷に陳腐化させる市場原理を克服してはじめて、時代を超越していけるのだと考えています。
とにかく「ホンモノ」と呼ばれる製品が開発したい。
そんなモチベーションで日々製品開発に取り組んでいるため、一度開発したものでも、「ホンモノ」というモノサシで測った時には100%満足するものというのは無く、既存の製品をもっと良くしたい!という気持ちが強いので、日々マイナーチェンジの検討をしています。
ヘビーユースしていただいている方によく言っていただくことは「ほとんど買ってしまって、もう買うものがない!」という嬉しいお叱りをうけるのですが、この様な理由もあり、どうしても1シーズンにたくさんの新品番をリリースすることができません。大変申し訳ございません。
ホンモノは(自然と)物語をはらんでしまう。
私たちが素晴らしい製品だと思うものは、試行錯誤の果てにシンプルな構造を持ち、その製品が目的を果たすために(時に不足していると錯覚するくらい)これ以上なく引き算されている。そんなモノです。
その時代にあった技術を駆使し試行錯誤したからこそ、常にそれが頭から離れない開発者たちが情熱を傾けたらからこそ、エッセンシャルな製品は生み出されました。そこには努力やひらめきが組み合わさり、再現性のない一度限りの物語があります。
私たちが「ホンモノ」と解釈するモノは、ほとんど全てがそのプロセスの中で「物語性」を獲得しているのです。素晴らしい製品には取ってつけたものではなく、偶然と必然のドラマがあり、語られるべきストーリーがあり、それが使用する人たちの体験と結びつくことで、非常に豊かな文脈を形成しています。
そう、その物語は作られるものではなく、そのプロセスの中に自然と滲み出てしまうものなのです。
そこには地場の成り立ちや歴史、その時代の技術や開発者の情熱があって生まれるものですが、それと同時に現代のモノづくりに重要なのは「リファレンス(引用)」と「インプット」だと考えています。
人は(よほどの天才でもない限り)誰しもゼロから創造することはできず、自らが見たことのあるモノゴトからしか発想することができません。シンギュラリティが迫ってきているという現代において、新技術や全く新しいモノが出てくることは、今までの時代より稀であると言えるでしょう。
それはポップカルチャーの世界で、音楽がラップミュージックがメインストリームでポジションを築いていく中で「サンプリング」という手法が一般的になってきたり、コミックや映像作品の二次創作が以前と比較して認められるようになったことなどに顕著に現れている事象だと思います。
極端に主張するならばすべてのものは、今まで存在していた「なにかとなにか」の組み合わせでしかないとも言えます。
ということは、優れたモノを生み出していくためには、その「なにかとなにか」の選び方や組み合わせ方の「質」に起因する事が多く、開発者がそれは過去にどんなものがあり、そのモノやそこにまつわるストーリーをどこまで知っているか?という部分が非常に重要な素養になってくるということでもあります。
そう、現代のモノづくりにおいてオールユアーズがやっていることは、その「リファレンス(引用)」の質を高めることとイコールと言っても過言ではありません。
そのために、共同代表者の一人である原康人は工場や産地固有の技術のリサーチを積極的にしているのと同時に、生活の中で感じるストレスや不満を実生活の中で常に探しています。
この「固有の技術」というのは、新しいテクノロジーや設備のことではなく、その産地や工場が長年熟練してきた技術の結晶であり、その場所でしかできない「強み」のことを指します。オールユアーズのモノづくりはそういった一見古臭く、一度世界のトレンドから外れてしまったような技術を再発見して「引用」するかたちで現代に生きる私たちが感じるストレスを軽減し、「着ていることを忘れてしまう」製品を開発しています。私たちが「引用」と呼ぶものは、任天堂の横井軍平さんが「枯れた技術の水平思考」と呼んだものと近いかもしれません。
オールユアーズのあらゆる製品は、このような考え方で開発されています。
強い気持ち・強い愛
ちょっと冒頭から難しいことを書いてしまいましたが、私たちはただ実験的にあらゆるものを組み合わせているわけではなく、そこには明確なポイントが存在しています。
それは、その産地や技術、作るものが「好き」であるかどうか?
自分たちが抱く感情をどう製品にしていくか?
これらの気持ちが開発の発端になっていきます。理論的に説明するのは難しいのですが…この説明できないモチベーションがもっとも強く私たちを突き動かします。
オールユアーズの製品は「機能的」だという評価をいただくことが多いですが、実際は機能のように数字化したり目に見える形で明確に示すことができない生活の中で起こるフィーリングを重視しています。
例えば HIGH KICK JEANS は、機能性でいえば「ストレッチ」という機能を持っていますが、「ストレッチパンツ」というジャンルは各値段帯にどこにでもあるような機能ですので、その機能だけで言えば他の製品と同じように見えます。
でも、このジーンズは穿いていただいた方はわかると思うのですが、ただの『ストレッチジーンズ』を買っているのではなく、『このパンツで得られる体験』を買っていただいています。
それは、まず試着室で足を通した瞬間に感じる感触から、この製品と生活を共に過ごすイメージが湧いてくることが、この製品の最も優れた点だと感じています。でも、この優れた点は感覚で感じる部分が大きく、言語で説明するのが非常に難しいのです。
例えば ”MOFU” の場合。
「あと5分したら起きよう…」
気候がだんだん寒くなってくるとベッドから出たくなくて、そんな気持ちになってしまいますよね。 寒い時期に暖かく、柔らかいものに包まれている感覚は、誰もが幸せを感じるタイミングでしょう。
「もうずっと…なんなら一生、毛布にくるまれていたい・・・!!!!」
そんなことを、もしかすると思ったことがあるんじゃないでしょうか?
そう、そんな願望をかなえてしまう製品が「MOFU(モフ)」なのです。
MOFUはその名の通り「毛布」製造の技術を服に転用し、ベッドの外でも毛布の肌触りを感じながら生活できるように作った、毛布好きにはたまらない製品です。
開発したオールユアーズの共同代表の一人、原康人は大の毛布好き。そして彼の生まれ故郷である大阪府にある泉大津市は毛布の国内製造の90%を占める、この土地にとっても重要な産業です。他の地域の産業と同じで、今は海外生産品に押されてしまっていますが、彼の「地元の貢献できることをしたい!」というモチベーションと、毛布好きが高じて、生まれたのがこのMOFUという製品なのです。
この製品は、オモテがコットン、ウラがウールで作られた生地のウール側を毛布の起毛技術を用いてモフモフに仕上げています。触り心地もよく、体温で温まった空気を閉じ込めてくれます。
また、他のオールユアーズ製品と同様に、洗濯機で丸洗いできます。ネットに入れて中性洗剤で洗うのがおすすめ。干す時にカタチを整えて干してあげれば形崩れもしにくく、長い間着ることができますよ。
いま私はこの文章を北海道で書いています。最低気温-1℃、最高気温7℃くらいなので関東地方の1月〜2月くらいです。 この気温帯で、外出するときにコートの下に、部屋にいる時は一番上に着るのにちょうど良く着ることができます。
まさにこれからの季節にぴったり。ぜひ毛布の優しさに包まれください。