渋谷の街を、真の意味での “ローカル” に。SHIBUYA CITY FCが目指すSWITCH STANDARDなあり方
わたしたちALL YOURSが、2020年春よりスタートした新プロジェクト『スイッチスタンダードプロジェクト(SWITCH STANDARD Project)』。
「あたりまえをあたりまえにしない」という価値観のもと、これまで幾多もの「あたりまえ」を更新すべく活動してきました。
ここでは、そんなわたしたちALL YOURSの、いわば “同志” とも呼べる方々をご紹介。きっと、志を同じくしてさえいれば、ブランドそれぞれがやっていることは違えど、同じ方を向いていることに違いない。そんな願いを込めつつ、ALL YOURS代表・木村 まさしとの対談形式で、さまざまな「人」や「ブランド」に取材をおこなっていきます。
記念すべき第一弾としてお話をうかがったのは、渋谷を拠点にしたサッカーチーム『SHIBUYA CITY FC』を運営する、株式会社PLAYNEW取締役・小泉 翔さん。“SHIBUYA CITY FCには、青春があると思うんです” の言葉を裏付ける、彼らなりの “SWITCH STANDARD” に触れてみましょう。
“ピラミッド形式” の、あたりまえ。SHIBUYA CITY FCが今いる場所とは
木村 まさし(以下、木村):今日はよろしくお願いします! SHIBUYA CITY FCさんは、僕たちALL YOURSとのコラボレーションアイテムを作ってくれた「唯一のサッカーチーム」ですね。
小泉 翔(以下、小泉さん):よろしくお願いします。めちゃくちゃカッコいいTシャツに仕上がって、かなり気分が上がっています。これ、本当に最高ですね……!
木村:おもしろいアイテムに仕上がりましたよね! ジャケットを着ると、ボールのデザインがジャケット襟の間からチラリと見えて。いつもならきっと、Tシャツのプリント位置をもう少し中央寄りにするんですが、あえてちょっとだけズラして、ボールのデザインが見えるようにしたんです。これも “SWITCH STANDARD” のうちのひとつかも(笑)。
小泉:初見でもう、「これは絶対お客さまに喜んでもらえる!」って確信しちゃいました(笑)。たくさんの方に楽しんでもらえたら良いなぁ。
木村:これはきっとみんな喜んでくれそうですね! えー、今日は何から聞こうかなぁ。僕、日本のサッカーって正直、J1ぐらいしか観たことがなくて。
小泉:ではまず、日本のサッカーリーグのあり方と、僕たち『SHIBUYA CITY』が今いる場所について話しましょう。日本のサッカーのリーグって、ひとつのピラミッドみたいになっているんですよ。たとえば、野球だと「セ・リーグ」と「パ・リーグ」に分かれているじゃないですか?
木村:うんうん。あと、地方リーグなんかもありますよね。
小泉:そうそう。でも、それらってすべて、いわば “独立” しているんですよね。たとえば、地域リーグを勝ち上がっても「セ・リーグ」に上がれる訳じゃない。違う世界、と言うか。日本一を決める「日本リーグ」というのもありますけどね。
木村:たしかに。サッカーのリーグって、それとはまた違うんですか?
小泉:木村さんが観たことのある「J1リーグ」は、日本のトップリーグで。その下に「J2」、「J3」と続き、またその下にはアマチュア最高峰の全国リーグ「JFL(日本フットボールリーグ)」、さらには「関東リーグ」のような、いわゆる “地域リーグ” があるんです。またさらに続いて「都道府県リーグ」が一部、二部、三部……と続いているんですよね。これってつまり「地域からでも、勝ち上がれば日本のトップリーグでプレーできる」ということなんです。
木村:なるほど! 地続きになっているんですね。
小泉:そうなんです。僕らの『SHIBUYA CITY FC』は、渋谷の地からJリーグを目指していて。今、僕らは都リーグの一部でプレーしているのですが、いつかは日本を代表するリーグで試合をしたいなぁと思い、練習に励んでいます。
大人になっても、ずっと青春を感じながらプレーを続けるということ
木村:『SHIBUYA CITY FC』の特徴は、どういったところなんですか?
小泉:『SHIBUYA CITY FC』に所属している選手たちは、サッカー “だけ” をやっている人たちではなくて。プロとしてチームに所属している選手もいますが、大多数は「社会人」として、普段はそれぞれの会社で仕事をしているメンバーばかりなんです。
木村:きっと「ゲームのレベル」はサッカーの試合をおもしろくする大きな要因なのかもしれないけど、その「背景」もひとつのおもしろみなのかもしれないなぁ。
小泉:僕らのチームメンバーは、みんな揃って、青春を感じながらサッカーをしていて。多様な個人が集まったチームなんですが、みんなやっぱり根底には「勝ちたい!」という気持ちが共通しているんです。高校生のように毎日毎日サッカーをやれる訳じゃないけれど、だからこそ、頑張れるというか。僕らにとっての青春なんですよ。
木村:うんうん。
小泉:さまざまなバックグラウンドを持ってクラブに集まった彼らが、また、ひとつの夢に向かって肩を並べて切磋琢磨する。プロとしての自覚を強く持ちながら、個々のレベルを高めようと努力し続けている。ただ、それだけじゃない。個人個人のあり方を尊重するチームなんです。夢を信じて、まっすぐ前を向くチーム。だからこそ、すごく面白いなぁと当事者ながら思っています。
渋谷を “ローカル” だと捉える、ということ。SHIBUYA CITY FCが見据える未来について
木村:“青春” って、本当に良い言葉だなぁと思います。大人になっても、青春を続けられる。
小泉:まさにそうですね。SHIBUYA CITY FCの色は、きっとそれなんだろうなって。「渋谷」という大きな街、日本の中心的な地域であっても、あくまで “ローカル” としてのあり方なんですよね。
木村:ローカルとしてのあり方、ですか。
小泉:Jリーグのクラブチームって、東京23区内にひとつもないんですよ。これはいわゆる「日本のトップリーグで活躍するチーム」という意味で。
木村:ほうほう。
小泉:パリには「PSG(パリ サンジェルマン)」があって。スペインには「FCバルセロナ」があって。ニューヨークにも、ロサンゼルスにも「中心チーム」があって。でも、それがこと日本となると、一切存在していない。僕らは、渋谷をひとつの “地域” だと捉えるようにしています。どれほど広くても、どんなに多くの人が住んでいても、あくまでひとつの “地域” として。
木村:すごく共感しますね。どこにだって、街があれば “ローカル” がある。
小泉:渋谷区には20万人の人がいます。「地元は渋谷です」って、正直あまりイメージしにくいとは思うのですが、もちろん渋谷にだって昔からの商店街がある。地域に根付いて暮らしている方だっている。そんな方々を巻き込んで、ひとつの「チーム」として肩を組み一緒にやっていけたら良いなぁと考えています。それに関して、つい最近、すごく印象的なシーンがあったんですよ。
木村:お、それはどういったものですか?
小泉:幡ヶ谷にある『渋谷区スポーツセンター』という場所で、初めて「渋谷区でのホームゲーム」をおこなったんです。その際に、僕たち『SHIBUYA CITY FC』のメンバーを紹介するチラシを作りました。「この選手はこういう性格で、こんな会社で働いているよ」と説明するものを。
木村:それ、すごく良いなぁ。選手の名前や年齢といった「情報」だけでなく、人柄も込みで。
小泉:そうなんです。結果、観客の方々それぞれがチラシを片手に「あの選手って、こんな会社に勤めているんだね!」と話しながら、楽しそうに試合を観てくださっていて。スポンサーの方々も、チラシを見ながら「えっ、この選手ってうちの競合の会社で働いてるの!?」みたいな感じで(笑)。きっと、ローカルって、人ありきだと思うんですよね。だから、そうした発信を通じてみんなが「自分ごと」としてチームを応援してくださった姿には、すごく感動しました。
木村:ネイバーフッド感というか、親近感というか。それはまさしく “ローカル” のあり方ですね。
小泉:僕たちのチームのメンバーって、良い奴ばっかりなんですよ。だから、その魅力をどんどん知っていただきたいし、チームだけでなく渋谷の人々みんなが一丸となって、渋谷全体をひとつの「スタジアム」として楽しんでいけたら良いな、って。
木村:渋谷がひとつの “ローカル” になる、と。
小泉:まさに。そのためには、これまでどのチームもおこなっていなかったことにチャレンジする必要があるんですよね。旧態依然なあり方を変える。これはつまり、まさに “SWITCH STANDARD” の心意気ですね。まずは周囲のみなさんに楽しんでもらう。たとえばそれは、「チームメンバーのドキュメンタリー」の形でもおもしろいだろうし。あくまで「人」を積極的に発信していくことで、渋谷の街から、サッカー業界全体をワイワイ盛り上げていきたいですね。これから、どんどんおもしろくなりますよ。
【お気に入りのアイテム紹介!】
『サッカーする人って、全部詰め込める大きなバッグが欲しいんですよ。決めつけみたいだけど、実際そうだと思っていて。これは、本当に理想のサイズ。ユニフォーム、すねあて、スパイクなんかをガサッと入れられるんですよね。僕なんかはPCを持ち歩いたりもしているので、小さめのリュックだと結構パンパンになってしまうんです。その点このバッグは、デカくて、肩にかけられて、バッチリですね。2020年シーズンが終わった時に、大好きな後輩たちがプレゼントしてくれたんですよ。打ち上げでこっそり渡してくれて。使い勝手も良いし、その思い出も含めてすごく気に入っているバッグです』
「人」を大切にしている小泉さんだからこその一品。これはきっと、「信頼」に他ならないものだと感じます。愛するからこそ、愛してもらえる。愛する人は、きっと愛される。そんなことを思わせられる、小泉さんのお気に入りアイテムでした。
小泉 翔/Sho Koizumi
SHIBUYA CITY FCを運営する株式会社PLAYNEW・取締役。高校時代は大宮アルディージャU-18に所属しJリーガーを目指すも挫折し、大学時代はバックパックを背負って世界一周の旅へ。2012年新卒でサイバーエージェントに入社、学生時代の旅で出会った仲間と2014年に株式会社TABIPPOを創業。2020年7月にSHIBUYA CITY FCの事業責任者としてPLAYNEWの経営に参画。
SHIBUYA CITY FC
「渋谷から世界で最もワクワクするフットボールクラブをつくる」というコンセプトの都市型フットボールクラブ。「Football for good ~ワクワクし続ける渋谷をフットボールで~」というビジョンを掲げ、渋谷の街全体をスタジアムと見立て、365日、フットボールを軸に渋谷に関わる人々や企業・組織と共創したコンテンツが楽しめる姿を目指している。現在東京都社会人サッカーリーグ1部に所属。
ライター:三浦 希
1993年2月26日生まれ、北海道出身。WEB制作会社、編集プロダクション、ECサイトディレクターを経て、2020年4月に独立。ライター・編集者として活動する。地方で昔から営業している古い居酒屋で、おじいちゃんおばあちゃんと友達になるのが好き。