まさに “みんなのための白シャツ”。ミテミテシャツの内側を大公開します。vol.3 木村石鹸のスプレー編
わたしたちオールユアーズが新たに開発した “透けない白シャツ”、『ミテミテシャツ』。10月初旬のクラウドファンディング立ち上げから、今や200人以上の方々よりご支援をいただき、約30か月ぶりの試みとはいえ多くの反響をいただいています。
この特集記事では、そんな『ミテミテシャツ』について、オールユアーズの代表取締役であり製品開発製造総責任者でもある原 康人にインタビュー。ミテミテシャツの内に込められたこだわりや想いについて、みなさまにお届けします。
前回の『シルエット編』に続き、連載最後の章となる今回は『木村石鹸のスプレー編』。
ミテミテシャツが持つ大きな特徴のひとつ「汚れない」を叶えるために、今回、老舗石鹸メーカー『木村石鹸』と手を組みました。大正13年の創業からこれまで、「洗うこと」を一心に見つめ続けてきた彼らとだからこそ解決できた、その大きな課題についてのお話をお届けします。お楽しみくださいね。
すべての汚れを無くすことは、できない。だからこそ、新たな方法を提示する
ーー 連載最後となる今回は『木村石鹸のスプレー編』。「汚れないシャツ」を生み出すために、「スプレー」を開発した、と。
原:少し遠回りになってしまうかもしれませんが、まず、今回開発した『ミテミテシャツ』に込められた大きなテーマである「黄ばみがつかない」という点について解説しますね。白のシャツを着用する際の課題として、一番に挙げられるのが「どうしても襟や袖口が黄ばんでしまう」というものだと思うんです。
ーー たしかに、白だからこそ、より目立ってしまいますね。それに、仕事やプライベートでも「白シャツ」を着用する機会は少なくないですし。
原:そうそう。僕は白シャツを「国民服」に近いものだと思っていて。男性/女性、子供/大人、みんなが一度はどこかしらのタイミングで身につけたことがあると思うんです。制服として着用していた方もいれば、それこそ仕事のために日々着ている方も。
ーー うんうん。
原:着たことがある方の母数が多いぶん、きっと、それぞれが感じる「嫌なところ」も多いと思っていて。そのうちのひとつが、「黄ばんでしまう」という点でした。どうしても汚れてしまう、というもの。僕たちオールユアーズの服づくりは、常に「課題解決」を目指すものです。だからこそ、こればっかりは絶対に叶えたかったんですよね。
ーー「黄ばんでしまう」という課題を解決する。そのための、シャツの付属品として販売するスプレー、ですね。
原:服自体が解決できるものももちろんあると思うんです。「防汚素材」と呼ばれるものを使ってシャツを作れば、汚れを防ぐことはできる。でも、たとえば、ラーメンのスープがシャツに飛んでしまってできる汚れと、襟元の黄ばみ汚れは全然違うんですよね。それらを引っくるめて「汚れ」としてしまうのは、ちょっと間違っていると思う。同じ「汚れ」でも、種類が別だから。それらをすべて解決できる “唯一の方法” って、正直、存在しないんですよ。
ーー ひとつの課題があれば、それに対応する解決方法は、ひとつ。「まるっと全部」というわけにはいきませんよね。
原:そうです。すべてを一挙に解決するのは難しいからこそ、黄ばみについては「別の方法をプラスしてもらえれば解決できます」という形にしました。そこで、木村石鹸さんのお力を借りたんですよね。洗濯の際に襟や袖口などに吹きかけるスプレーをご提供いただき、それをミテミテシャツに付属させて販売することになりました。
“オールユアーズは、ブランドとして、素直でありたいんです”
ーー 先ほどのお話にあった、“別の方法をプラスしてもらえば解決できる” ということについて。そもそも、シャツの機能として「黄ばまない」を叶えなかったのはなぜなのでしょうか?
原:できないことって、「できない」と言った方が良いじゃないですか。
ーー あ、いや、たしかに……。
原:そもそも「汚れないシャツ」を出すのが目的だから、ラーメンの汚れも皮脂汚れの黄ばみも、全部解決したいんです。本当は。ただ、それを生地の加工技術だけで解決するのは難しい。であれば、たとえ外付けであっても、今回のスプレーのような「新たな方法」を提供してあげる方が本当の意味で “優しい” と思うんですよ。きっとそれが正しいと思うんです。だって、できないことはできないんだから。新しい解決方法を見つけて提示しなければならない。
ーー それが、木村石鹸となら、できた。
原:『木村石鹸』の代表・木村さんに相談してみたところ、過去にそういった研究をしていたことがあったようで。サンプルをいただいて試してみると、そりゃもう明らかな効果があったんです。だから、堂々と付属させようと思って。言うなれば、アプリをひとつ追加するようなイメージですね。拡張機能としての、スプレー。
ーー オールユアーズの服づくりには、いつも「嘘がない」と感じさせられます。それこそ『できないものはできない』と言ってしまったり。
原:嘘がないブランド、素直なブランドでありたいとは常に感じています。できないのなら、できる方法を考える。今回の木村石鹸さんのように、身の回りの方々のお力をお借りしてでも、しっかり目の前の課題を解決する。
ーー うんうん。
原:オールユアーズの服を着るのって、「毎日水を飲む」のような感じなんですよね。毎日着るものって、“引っ掛かり” がないと思うんです。
ーー 引っ掛かり、ですか。
原:毎日使うもの、たとえばスマートフォンなんかもそうですが、少しでも「ここはちょっと……」と思う部分があると、途端に嫌になってきません? インターネットの回線が遅かったり、接続が不安定だったり。身近に毎日使うモノって、気になるポイントがあると、いずれ使わなくなってしまうんです。
それは、服も同じ。ちょっとでもネガティブに感じられる部分があると、着なくなってしまうんですよね。僕たちオールユアーズの服は、「鉛筆」や「ボールペン」のようなポジションになっていけたら良いなぁと思っています。いつも使う “モノ” としての服。そう考えているので、いわゆる “ストレス” は前提として解決されていなくてはならないと思っていて。
ーー なるほど。今回の木村石鹸のスプレーも、その “解決法” として。
原:正直、一手間かかってしまうのは事実です。洗濯をして、干す際にスプレーを吹きかける。そうすることで、黄ばみを予防するイメージですね。
そんなたったひとつの手間を加えるだけで、見違えるほどの効果が生まれてきます。「シャツがどうしても黄ばんでしまう」というストレス、“引っ掛かり” を取り除くための解決方法として、期待していただけたらうれしいですね。きっと、びっくりしますよ。より白シャツのことが好きになるはずです。
スプレーで皮脂汚れが落ちる仕組み
ーー 本日はありがとうございました!
Credit
ライター:三浦 希
1993年2月26日生まれ、北海道出身。WEB制作会社、編集プロダクション、ECサイトディレクターを経て、2020年4月に独立。ライター・編集者として活動する。地方で昔から営業している古い居酒屋で、おじいちゃんおばあちゃんと友達になるのが好き。
写真:akari kagaya
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撮影ディレクション:Kyohei Miyake
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モデル:Kei Kouda
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