まさに “みんなのための白シャツ”。ミテミテシャツの内側を大公開します。vol.2 シルエット編

まさに “みんなのための白シャツ”。ミテミテシャツの内側を大公開します。vol.2 シルエット編

わたしたちオールユアーズが新たに開発した “透けない白シャツ”、『ミテミテシャツ』。10月初旬のクラウドファンディング立ち上げから、今や200人以上の方々よりご支援をいただき、約30か月ぶりの試みとはいえ多くの反響をいただいています。

この特集記事では、そんな『ミテミテシャツ』について、オールユアーズの製品開発・製造総責任者である廣瀬 雄太にインタビュー。ミテミテシャツの内に込められたこだわりや想いについて、みなさまにお届けします。

前回の『サイズ編』に続いて、今回は『シルエット編』。今回開発したミテミテシャツは、肩の仕様をひとつ取っても、縫い糸の仕様(ステッチ)をひとつ取っても、そのすべてに “みんなのため” という目標が据えられています。これはオールユアーズの製品すべてに共通する事柄ですが、今回の取材では、特にミテミテシャツの仕様からその想いについて触れていきましょう。ぜひお楽しみください。

“僕たちは、あたらしいシャツを「開発」したんです”

ーー 前回の『サイズ編』に引き続き、今回は『シルエット編』。ミテミテシャツを開発する際、特に思い入れを強く持っていた部分はどこだったのでしょうか?

廣瀬:「着られない人がいない服を作ろう」という点は、特に強く考えていました。たとえば、今回開発したミテミテシャツには、「ラグランスリーブ」という袖・肩の仕様を取り入れていて、大体の洋服には、肩線と呼ばれる生地の切り替えが採用されています。それによって「肩幅」が設定されているのですが、肩をラグランスリーブの仕様にすることでその枠組みがなくなるんです。

 

ーー 肩幅の枠組み。

廣瀬:肩線を設定せず、斜めに生地を走らせ、肩から袖をなだらかに流してあげる。そうすることで、まずは「肩幅」の枠組みを取っ払ったんです。「肩幅が合わないせいで、服が似合わない」という問題を無くしたかった。そうすることで、似合う “可能性” を広げたかったんです。

ーー オールユアーズの服からは、いつも「似合わない人がいないんじゃないか……?」と思わされます。ブランド名の『ALL YOURS』が意味する通りですよね。

廣瀬:まさにですね。オールユアーズの服づくりは、たしかにトレンドに左右されないものではあると思います。ただ、オーセンティックすぎる部分も少しあるのかなぁとは思っていて。僕は2021年の2月からオールユアーズの服づくりに携わってきたのですが、オールユアーズの服には「オーセンティックさ」があると思っていて。

 

ーー オーセンティックさ、ですか。

廣瀬:悪口を言うつもりは一切ないのですが、あえて悪い言葉で言えば「古臭さ」になるかもしれません。何に関しても「ずっと変わらないもの」というのはありませんし、きっと、服も同じだと思っていて。デニムだって、他の洋服だって、もちろん今回のシャツだって、時代とともに少しずつ変わっていくもの。トレンドを全面に意識したわけではありませんが、今回の『ミテミテシャツ』は、時代に合った「あたらしいシャツ」を開発した、ということなのだと考えています。新たなシャツの概念を作った、とも言えそうですね。

ニュートラルであること、主役はあくまで “着る人” であること

ーー サイズ編でも原さんからお話をいただいたのですが、オールユアーズの服づくりは特に、“着る人” の姿を色濃く思い起こしているような気がします。

廣瀬:今回のミテミテシャツを開発する上で、「着られない人がいない服(どんな人でも着られる)」という点を意識していましたが、同時に「どんなシーンでも着られる」という点も考えていたんですよね。

 

ーー うんうん。

廣瀬:ちょっとカジュアルな結婚式にも着て行けるし、きっとお仕事にも着て行ける。もちろん普段使い(オフの日)にもバッチリ着られる。シーンを問わない身につけ方ができるシャツとして、お客さまに楽しんでいただきたいんです。

 

ーー きっと、お葬式なんかに着て行くのもおかしくないような。

廣瀬:そうですね。僕らが作っているのは「洋服」だけれど、ひいては、着る人の「暮らし」であったり「行動」であったりなんですよ。主役はあくまでも、着る人。彼らの生活を邪魔せず、むしろ快適にするために、オールユアーズの服があれば良いと思っています。今回のミテミテシャツには「シームレス」という隠れたテーマがあって。

 

ーー シームレス。途切れのない、縫い目のない、といった意味ですね。

廣瀬:これは先ほど話した「ラグランスリーブ」についての話を似ているのですが、縫い目ひとつ取っても、ミテミテシャツは常に “匿名的” でありたかった。いわば “黒子的な存在” であったら良いなぁと思っていたんです。あくまで、主役は着る人。ミテミテシャツは、脇役でいい。それも、どこにでも着て行ける脇役として。シャツって、縫い目が見えるデザインだと、どうしてもカジュアルな印象になってしまうんです。だからこそ、ステッチを出さないことで、主張のない「シームレス」なデザインにしたかった。

 

ーー デザインによって、着て行ける場所を限定しない。あえて特徴を削ることによって、どこにでも着て行けるような仕様に。

廣瀬:それが本当の意味での「シームレス」だと思うんです。またそれに加えて、「着ている際のストレス」をも、なだらか(シームレス)にしたかった。その方法として、「第二ボタンの位置を2cmだけ上にする」ということを取り入れています。

 

ーー 2cm……?

廣瀬:そもそもミテミテシャツが解決したかったのは、「どうしても白シャツはインナーが透けてしまう」という問題でした。それは生地の仕様で解決することができたのですが、例えば、仕事中にシャツのボタンが苦しいため外したい人がいるとします。首が太い方なんかは、特にそう感じると思うのですが、いざボタンを外してしまうと、インナーが見えてしまうんですよね。

 

ーー たしかに、シャツの襟元から白のインナーが見えている人、多いです。

廣瀬:なぜそういったことになってしまうかと言うと、シャツの第二ボタンは、襟から4,5cmも離れたところに取り付けられていることが多いからなんです。これによって、首元の詰まりは解決できているのですが、どうしてもインナーが見えてしまう。そこで、第二ボタンの位置を2cmほど上げてみたんです。結果、「リラックス感を損なうことなくインナーも見えない」ということを実現できました。

 

ーー まさに “着る人” のことを一心に考え抜いた結果ですね。

廣瀬:オールユアーズは、一般のアパレル企業の「逆」を走っているように思います。服って、ニッチなものを作る方が面白いんですよ。着るのだってそう。「自分だけが知っているブランドなんだ!」といった高揚感は、たしかにあると思います。でも、オールユアーズの服には、それがないんですよね。まだまだ小さなブランドではありますが、僕らはあくまで “選択肢” を作っているだけなんですよ。それも、着る人が快適に過ごせるような仕組みを取り入れた、選択肢。今回のミテミテシャツは、まさにそんなシャツですね。きっと満足していただけるはずです。

 

ーー 本日はありがとうございました。次回、最終回は木村石鹸さんと共同開発した『黄ばみ防止スプレー』についてお届けします!

Credit

ライター:三浦 希

1993年2月26日生まれ、北海道出身。WEB制作会社、編集プロダクション、ECサイトディレクターを経て、2020年4月に独立。ライター・編集者として活動する。地方で昔から営業している古い居酒屋で、おじいちゃんおばあちゃんと友達になるのが好き。

写真:akari kagaya
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