【木村石鹸コラボ記事Vol.1】私たちは衣類を洗い過ぎている...?
むかし話にも出てくるように、衣類と洗濯は切っても切り離せない関係性があります。それは衣類を永く着続けるために必要なことではあるのですが…みなさん、どんな基準で洗剤を選び、洗濯をしているでしょうか?
そのやり方を教えてもらったことのある人はあまりいないのではないかと思います。
これから数回にわけて、家庭用洗剤を作っている木村石鹸工業株式会社の木村祥一郎さんとオールユアーズの木村まさしの洗濯に関する会話をご紹介していきます。
テーマは「洗濯と服の理想の関係」
祥一郎さんにお話を聞いていったら、思ってた以上に意外なことが多くてビックリしました…この話を一緒に聴きながら、あなたも洗濯のことをちょっとだけ考えてみませんか?
洗剤の成分をよくよく考えてみたら…?
洗剤の汚れを落とす成分って、主に界面活性剤っていう成分なんですが、この界面活性剤って、繊維とかに浸透して残りやすいわけです。例えば、洗濯するときに「洗浄力をあげよう!」と思って、規定量よりたくさん入れちゃうことって、一般的にはあると思うんですが…
たしかに、洗浄力を上げようと思うと、量を入れたくなってしまうかも…
洗剤が洗濯後に衣類に残留していると、それはもう汚れなんかと一緒のようなものになっちゃうんですね。
洗剤を入れすぎるということは、極端に言ってしまうと菌が食べる餌を衣類に残しているようなものなんです。
自分が望んでいる結果と逆のことをすることになってしまう…
そうなんです。洗剤を入れすぎた状態を続けていくと、それがどんどん衣類の繊維に残留してしまって、臭いのもとだったりだとか、タオルが黒ずんじゃうとか、衣類を劣化させたり、繊維に悪いことをする原因になってしまうので、もうそういう状態になったら、むしろ洗剤を使わない、水だけで1回洗うとかそういうことも必要だったりもします。
残留した洗剤などの成分をを洗い流す作業が必要になってくるんですね…服にもデトックスが必要な場合があるのかあ。
僕たちにお客さまから問い合わせがある内容も、よくよくお話を聞いて突き詰めていくと洗剤や柔軟剤の使いすぎが原因になっていることが多いんです。
洗濯機の説明書や洗濯洗剤の説明を読んでみると、投入する衣類の量によって、洗剤の使用量の目安がありますよね?それは縦型の洗濯機とドラム式の洗濯機で違ったりする。これも、縦型とドラム式の水の使用量が違うからなんです。ちゃんと読んでみると、洗剤を入れすぎないようにするためのガイドはメーカーが提示しているんですが…実際しっかり読んでいる人は少ないかもしれませんね…
正直全然見てなかったですね…「洗濯で失敗してしまった…」という経験は誰しも少なからずあると思うんですが、洗濯って機械や洗剤に自動でやってもらっているので、なんとなくやっている部分がありますよね。こういう洗濯の原理を知っていると、自分がどういう風に洗濯したいか?がある程度わかってきそうな気がします。
生活者目線とメーカー目線
洗剤も洗濯機も衣類もどんどん進化しているじゃないですか?洗濯って生活者の感覚だと一つのタスクなんですが、実はアパレルや家電、洗剤メーカーなどいろいろな業界が参加している構造なので、めちゃくちゃ変数が多いから、余計洗濯のことがわからなくなっていく実感がありまして…
だからオールユアーズの服は開発の前提として「洗濯機で丸洗いできる」ことを絶対条件にしています。作っている側として、なるべく不明な点を無くして永く安心して着てもらいたいという気持ちなのですが、そもそも使用者側として洗濯するときにわからない事が多い経験をしていたからなんですね。そういう設計で商品を作っていたら、着ている人以上に、家庭で洗濯係を担っている人に喜んでもらえるケースが多くなってきました。「洗濯がしやすいし、シワになりにくくて助かります!」みたいな声をいただくようになりました。
僕はメーカーという立場で洗剤や洗濯のことを考えてきたので、以前木村さんが書いたnoteに衝撃を受けたんです。メーカーの立場では絶対に発想はしないけど、自分がいち生活者なら、これでいいんじゃないか…?と考えさせられる内容で。
あのnoteは「全部中性洗剤で洗えば、どんなものでも一緒に洗えちゃうよね」っていう単純な内容なのですが、洗濯をする側として、繊維の素材ごとに分けて洗うのも面倒だし、Tシャツもセーターもコットンも、ウールも一緒に全部洗える方法ってないかな?と考えて自分なりに達した結論を書いたものなのですが。そう言ってもらえて嬉しいです!
そこなんですよね。メーカーの発想だと、中性洗剤って「(検査の数字上)洗浄力が弱い」とか「売り場で特徴が出しにくい」など、どうしてもそういう結論になりにくいんです。
でもよくよく考えると、デスクワークや営業などを中心に仕事をしている人たちは、日常的にそんなに服が汚れるような生活をしていないんですよね。ひどい汚れが付いちゃうときって、食べこぼしなどの部分汚れくらい。そういう時は部分洗いの方法を知っていればよいだけだし、分けて洗い出すとキリがない。全部中性洗剤で洗うというのは全然よい提案だなあと思いました。
そう言ってもらえてうれしいなあ。
正解はない。じぶんの価値観で決めていい
今日着てきたのはパタゴニアなんですけど、大学1年のときに買ったやつなんで、もう20年着ているんです。私はこういう着方がしたいという気持ちがあるので、「洗濯」はとにかく、なるべくダメージを与えずにずっと着られるコンディションに保つということを重きに考えたいなあ。と思っているんですよね。
そうなんですよね。色々な課題はありますけど、個人ができるエコって、持っているものをどう長く着られるか?とかの工夫だったりだと思うんですよね。
香りを残したり、抗菌加工される洗剤なんかは、洗剤成分を衣類に残留させようとしている。と聞いた事があります。私が洗濯洗剤に求めたい事って、香りとか洗濯槽がきれいになるといったことより、汚れを落として、すすぎでしっかり洗剤が抜けてくれたほうが「長く着る」という発想をしたときには、一番いい機能なんじゃないかなと思っているんですよね。
香りや抗菌が持続する原理って、洗剤の中に入っているマイクロカプセルに香りの成分をいれて、それを衣類の繊維が絡めとることで香りを持続させるという原理なので、洗剤を衣類に残しているとも言えますね。「すすぎ一回でOK」という洗剤が多くなっているのも、マイクロカプセルを衣類に残しやすくすることを目的としているものが多くなっているからとも言えます。
さっき言ったみたいに、衣類のことだけを考えると、しっかりすすぎをした方がいいと思うのですが、これは個人個人が「洗濯になにを求めるか?」で選択肢が変わってくることなのかなと思っています。世の中にはいろいろな価値がありますからね。
そう考えると、洗濯って何か正解があるわけではなく、「自分が衣類とどんな付き合い方をしたいか?」で考え方がだいぶ変わってきますね。
そう思います。実際そこに正解はないと思うんですよね。
僕の場合は基本的に面倒くさがりやなんで、1個1個めっちゃ丁寧に何か考えて、細心の注意を払ってやるみたいなことって無理なんですよ。ある程度ざっくりとやりつつも、自分でコントロールできる領域持ってるみたいな状態がちょうどいい。全部を正確にやるより、そういう事に心地よさを感じますね。
そういう考えで言えば、例えば、洗濯すれば、擦れたり、色も当然落ちますね。色落ちしないものでも伸びたり縮んだりとかってそういうダメージがあるので、別に洗濯しないで済むなら着たからといって、毎回洗濯する必要はないんじゃないかなという考え方もあるわけです。
僕で言ったら下着やTシャツなど、直接肌に触れるものは着たら毎回洗いますけど、例えばオールユアーズのMOFUとか直接肌に触れにくいものは3日〜4日着たら洗う程度ですし、下手すると1週間以上出張中に着続けるものもありますよ。
洗濯の話をしてるのに、なるべく洗わない方がいいっていう話ですね。
汚れが目立つ、匂いがしてきた、汗であきらかに濡れてるとか。それを結構目安にしています。
ただバスタオルはいろんな意見があって、うちの技術担当者は毎日絶対洗うって言ってます。僕は毎日洗わないんですよ。
それを言うと「え〜〜!バスタオルにどんだけ菌繁殖してるか知ってますか!?」と言われます(笑)
拭いてる時に皮脂もつくし、濡れてる状態で結構長い時間置いてある。しかも湿度が高い浴室の近くだったり、すごく雑菌が繁殖しやすい条件にあったりするケースが多いから「バスタオルは毎日洗った方がいいですよ」って僕はその技術から言われた。
でも僕はそれでいいんです。わざわざ毎日取り替えだすと大変なんで、3日〜4日に1回くらいで取り替えてます。もちろん、衛生面を考えると毎日洗うのが一番良いとは思いますけれど。
僕同じで3日に1度くらいの頻度ですね。私の場合、それさえも面倒になってバスタオル使うのやめました。フェイスタオルで十分拭き取れるなって思って。洗濯機に入れたりとか干すスペースもフェイスタオルならそんなに取らないし。シャンプーも含めてなるべく生活の中で使う洗剤を減らそうと思ったら、いつの間にか髪型も坊主になっちゃったし(笑)
髪型もライフスタイルが反映されているんですね(笑)
私のケースは極端な事例ですが(笑)
こういう感じで自分のライフスタイルの中で一番心地よい部分を見つけられたら、私たちとは違う方向性で、めちゃくちゃ洗濯にこだわってみるっていうことも楽しいことになるかもしれませんよね。
自分がどんな事を洗濯に望んでいて、市販されている商品の特性をわかって選んでいれば、満足度っていう、嫌なことをやらされてる感ではなく、向き合えると思っていて。必ずしも全部楽しいもんではないですけど、衣類を好きな人とかは特に、すごく大事な衣類と長く付き合っていきたいと思ってる人って、衣類がちゃんとメンテナンスできている状態を自分で作り出せるのはすごい喜びだと思うんです。
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