ハイキックジーンズの商標に関して

ハイキックジーンズの商標に関して

2021年に入ってまもなくの1月18日、木村個人のツイッターアカウントでこんなツイートをしました。

オールユアーズのハイキックジーンズの商品ページをリニューアルしようと思い、ふと検索をかけたら「ハイキックスキニーパンツ」という商品がヒットしたので、びっくりして思わずツイートをしてしまいました。

この一件は、該当商品を展開していた「RAGEBLUE」を運営しておられます株式会社アダストリア様よりご連絡をいただき、オールユアーズの使用する商標(商標登録第5866063号、商標権者は株式会社ビズ・トラスト)に抵触している旨を認めていただき、下記のようなリリースをコーポレートサイトに掲載していただいております。

非常に誠実にご対応いただいており、前向きに協議させていただきました。

名前をつけるということ

当時の感情は憤りというよりも、驚き。という表現が正しいでしょうか。

今まで、クラウドファンディングのクリエイティブや、生地の規格、商品コンセプトが類似した商品を見つけたことはあったのですが、流石に権利を確保して使用しているネーミングを他社に使用されたことはなかったので、当惑しました。

 

私たちはすべての製品に「品番」だけでなく「名前」を付けています。

それは、既存アパレルの商品名の多くは「ストレッチデニムスキニー」のように「素材名+スタイル」で付けられており、「名前」というより、あくまで「商品名」といった趣が強く、あくまで「商品管理上」名付けられている傾向にあります。

 

もともと「ALL YOURS」というブランドは、既存アパレルに限界を感じて始めたブランドです。その現場に、私も当事者として経験したことを変えていきたいと思って創業しました。

ファッショントレンドが移り変わり、毎年更新されていくのが業界の常であるのであれば「最高の製品を永く販売したい」と考え、そのために、ユーザーの皆様に愛していただけるよう、製品に「名前」をつけたい。そういう思いから「HIGH KICK」「FAST PASS」ときには「着たくないのに、毎日着てしまう(通称「着た着て」)」など、商品の特徴を一言で表すようなネーミングを考案しています。

 

そのため、ALL YOURSの製品やコピーの多くは商標登録をしています。それは自分の子供に名前を付け、戸籍に登録するように。私たちにとってはそれが自然な行為だったからです。このような自身の経験とブランドとしての経緯がありましたので、特徴の似ている製品に同一の標章が使用されていたことに、驚きを感じたのです。

 

この件に関しましては、上記の株式会社アダストリア様のリリース文にありますとおり、社内で考案したネーミング案について、商標権の確認を行わなかったが故に起こしてしまったものである、という経緯のご回答をいただきましたので、当社としてはこれ以上事を荒立てるつもりはありません。

模倣に対する考え方

ここからは、本案件に直接関係することではありませんが、この機会にアパレル産業の「模倣」に関する私たちの考え方をお伝えしたいと思います。

どんな分野でもそうだと思いますが、アパレルの領域もご多分に漏れず、「模倣」によって成り立ち、それが人の創造性やマーケットをドライブさせてきた歴史を持っています。特に近年はトレンドサイクルが加速してきたことから、企画する期間が短縮される傾向があり、露骨にデザインを模倣したり、独自に開発された生地規格を、コスト格差のある他国の他社で再現するなどが多くなってきていると感じています。

とはいえ、全ての模倣が悪だとは思っていません。

私たちにも影響を受けた尊敬すべきブランドや、メーカーがいます。その偉人たちが残してくれた影響を自分たちなりに解釈し、どう乗り越えていくか?そういう議論が社内で起こるくらいに、自分たちの愛しているブランドや製品に影響を受けています。

近現代の繊維産業は、18世紀の産業革命で最初に起こった産業でもありますし、偉大な先人たちの積み上げたモノの上に、私たちは立っています。先にチャレンジして、その道を切り拓いた先人たちに対する物づくりに対する敬意と、ブランドとしての倫理観が問われているように感じています。

繊維産業は大量生産大量消費を前提にしている産業構造なこともあり、すでに顕在化されているように乗り越えていかなければならない矛盾もあります。私たちはその矛盾や課題を乗り越えていくためにも、歴史や過去、先人たちへの敬意を持って取り組んでいきたいと思っています。

まだまだ、私たちも未熟ではありますが、今後ともオールユアーズをよろしくお願いします。

株式会社オールユアーズ 木村まさし