発酵デパートメントには気をつけろ
8月11日(水)から始まったオールユアーズのコラボTシャツは、下北沢にある「発酵デパートメント」との企画です。発酵デパートメントとのお付き合いは、このお店の前身となった2019年に渋谷のヒカリエで行われた展示「Fermentation Tourism Nippon 〜発酵から再発見する日本の旅〜」の会期中にスタッフが着用するハッピやTシャツを制作したことから始まりました。
それもこれも、先方のオーナーである小倉ヒラク氏とオールユアーズの木村の、ちょっとした縁がすべての始まりでした。
今回はそんなヒラクくんのお店を、木村がご紹介します。
【発酵デパートメント】
“発酵デパートメントは全国各地の個性的な発酵食品を扱っているお店で、味わったことのないさまざまな味覚や多様な文化がぎゅうぎゅうに詰め込まれた、ガラパゴス的世界。それはさながら聴いたことのないインディーズ盤ばっかり並べられたレコードショップのようだ。”
発酵デパートメントのオーナーである小倉ヒラク。彼の歩んできたキャリアだとかやってきたことだとかは、正直よく知らない。わたしが彼の仕事について知っていることといえば、「発酵デザイナー」という肩書きくらいだけれど、実際どんなことをやっているかは把握していない。二人で会ってもそういう話はしない。唯一知ってるのはこの記事で話した内容くらいなんだけど、よく知りもしない状態だのに、わたしは彼の人間性や個性に、強烈に惹かれてしまった。
なにに惹かれているのか?と考えてみると、彼の持っているオルタナティブな態度だろう。自分の知っている材料だけで彼を表してみると、「発酵」という、目には見えないけれど自然と身近に存在しているものを面白がり、探求して、それを捉え直して現代のライフスタイルに「別の選択肢」を溶け込ませようとしている人。そんな説明ができる。
だから発酵デパートメントは「ライフスタイルショップ」であると言える。一見、「発酵食品の専門店」のようだが、自分たちの生活に、下北沢という街に、いつもとは違う選択肢を提示しようとする意志を感じる。ライフスタイルというのは「生活全般」といった網羅的なものではなく、ある一つの選択や偏愛から生まれるものだということを、彼はよく知っている。
発酵デパートメントがセレクトする商品を見てみれば、それがよくわかる。
ある地域にのみ存在するものを文脈に乗せて執拗にレコメンドする。
大きな流れには乗れず、見過ごされてしまうかもしれないものたちに注目する。
或いは材料だけを用意して、お客さんを「生産側」にまわらせてしまう。
トレンドの辺境に位置するものに光を当てて、偏愛にまみれた紹介をし続ける。その彼らのセンスに感化されて、生活が変わっていく。極度に専門化されたお店のはずなのに、たまに通うことで、情報に触れることで、ライフスタイルに影響を及ぼす危険性があるのが、発酵デパートメントなのだ。
発酵デパートメントには気をつけろ。
わたし自身の生活や価値観を、少なからず彼らに変えられてしまった。
下北沢に行った時は、また顔を出しますね。