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セレクト

ライフスペックは、あらゆる服をハックする。
Text by 木村昌史
新年のご挨拶
明けましておめでとうございます。
新しい年が始まりました。
時間は地続きだから、昨日から、今日になっただけなんだけど、ちょっとだけ特別な感じがしますよね。
あなたは、今年はどんな年にしていきたいですか?
せっかくだから、僕らはさらに冒険をしていきたいと思っています。
1月15日、”24ヶ月共犯者募集”は続きます。
年明けも引き続き、オールユアーズは”共犯者”を募集しています。
”サヨナラジーパン”は1月7日まで。
新開発ですから、僕たちも製品になるのが楽しみでしょうがないです。
そして、次の新プロジェクトは1月15日(月))12:00~から。
ただいま、新しいプロジェクトの構想をしているところなのですが、
今回も新製品のプロジェクト。ではなく、
僕らの想像する、「未来のカタチ」をクラウドファンディングしたいと思っています。
ライフスペックは、服をハックする。

僕らの2018年からの目標は、服をハッキングするコトだ。
どういうことかって?
僕らは、世の中の服という服を「ライフスペック」にしていく。
僕らは無駄なものを作りたくない。
だから、僕ら自身の製品を大量につくるコトもやりたくない。
僕らが作らなくても、服という「インフラ」は世界中に転がっている。
でも、それらは、ライフスペックウェアではない。
ハッキングして、あらゆる洋服を「ライフスペック化」していく。
あなたの持ってる「普通の服」に「ライフスペック」をインストールできる。
そんなサービスを開始します。
これも、「インターネット時代のワークウェア」を作るオールユアーズの使命だと思っています。
結構前に言っていた事を、今年は実行に移していきます。
ニンゲン中心につくる。それがLIFE-SPEC。
僕らの目指す未来。
それは、ニンゲンを中心にモノが作られ、流通する未来。
捨てる必要がない。ダメになるまでずっと使える。仮にダメになっても、なおしてまた使える。
本当に必要で、愛着があるものを選んで使い切る。
道具として存在している以上、天寿を全うしてもらうってだけのことなんだけど。
それがプロダクトとして美しい、正しい道だと思うのです。
別にエコを目指しているわけじゃない。
そういう姿勢はない訳じゃないけど、特段アピールするつもりもないし、
本当に必要なものを作っていれば、結果、エコロジーになるし、エシカルになるってだけの話だ。
モノづくりそれ自体が素晴らしいんじゃない。
作ったモノがニンゲンを前進させるから、素晴らしいのだ。
誤解を恐れず言えば、ニンゲンを前進させる優れたアイディアがないモノづくりは「ごみづくり」だ。
僕らの製品は、「ヒト」のストレスを無くして、行動力を上げる。そのためにつくる。
それを「LIFE-SPEC(ライフスペック)」と僕らはよんでいるのだ。
この思想を2018年はもっと深く、広く伝えるような活動をしていきます。
必要なものでさえ、作らなくてもいいんじゃないか?
ヒトには合理性以外にも惹かれる強烈なコトがある。
それは「体験」や「思い入れ」と呼ばれるもの。
一見すると「無駄」に思えるものでも、その人にとって「すごい大切なもの」そんなモノが確かに存在する。
ニンゲンはひとつの要素で出来上がっている訳じゃない。
右へ左へ、前へ後ろへ、ゆらゆら、フラフラしているのだ。
そのグラデーションのような、レイヤーになっている部分があるからニンゲンなのだ。と思う。
僕も無駄なコトが大好きだし、同時に意味のあるコトも好きだ。
好き嫌い、趣味趣向、興味無関心。色々な部分に触発されて、ヒトは生きている。
みんなが欲しいモノは作れない。
それぞれ、好き嫌いがそこに存在するからだ。
ビジネスとしての僕らのようなモノ売りには、そこが限界だと言ってもいい。
でも、みんなが必要なものは、存在する。
「雨に濡れたくない」
「自分のニオイが気になる」
「色が落ちて困る」
そんな、根本的な悩みや、ストレスは結構なヒトたちが持っているはずだ。
それは、今あるものをハッキングするコトで、解決できるかも知れない。
そんな気持ちがどんどん強くなっていった。
モノづくりは、ゴミづくりなのか?

新年なので、改めてお話しさせていただくと
僕らは「洋服=ファッション」じゃなく、「洋服=道具」だと思ってる。
「インターネット時代のワークウェア」と言うコンセプトはここから生まれている。
僕の考える理想的な服は、でっち上げられたトレンドを追いかけて消費を繰り返す、「ゴミ」じゃない。
服は食べて無くならないから、「流行り」を追いかけるために作られた服は、捨てるために作られる。
あなたにとっては重要かもしれないが、世の中にとって無駄だし、不毛で、未来が見えず、なんてったって、環境に悪い。
あんまり好きな言葉じゃないけど、サスティナビリティのカケラもない。
最近は「オーガニックコットンを使用」という、環境に優しそうな言葉が並ぶが、捨てるために作られた服にオーガニックコットンを使用していても、本当に環境に優しいのか?よくわからない。
僕は衣料品の業界にいて、もう15年経つんだけれど、この世界のルールに矛盾を感じた。
そう思った時に、「俺、70歳まで仕事続けられないな。このままじゃ。お客さんに嘘つきたくないし。」と思ったのが、ALL YOURS を立ち上げたきっかけのひとつでもある。
服を最初に好きになったのは、アメリカのヴィンテージウェアだった。

僕らの時代はアメリカのヴィンテージウェア=1940年代〜1970年代に作られた服がそう言われていたけれど、どうやら今は90年代のモノもヴィンテージというらしい。
われながら、歳をとったと思う瞬間である。
アメリカのヴィンテージウェア。特にワークウェアやミリタリーウェアは何のために作られたのだろう?
と考えてみると、ファッション消費のために作られたわけではない。
例えばワークウェア。
LEVI’Sのジーンズはなぜ作られたのか?
例えばミリタリーウェア。
M-65はなぜ作られたのか?
以前のエントリで詳しいことは書いてもらったけど、
そこにはヒトが「ストレス」を感じる部分を衣類で解決しようとした工夫がある。
そこには解決すべき問題があり、応えるべきニーズがあったのだ。
必要だから作り続けられてきた。
それがモノとしての本質だと、僕は思うのです。
だから、長い間作られ続け、流通し、人の手にわたり、長い年月をかけて、古着(ヴィンテージ)として僕らの手元にまで残る。
だから、古いものにも値段がつく。
LEVI’Sの501®️なんて、1890年誕生。もう130年近く作られてるんだぜ?
服のそもそもは、カラダを保護したり、寒さ暑さから身を守るために生まれたはずだ。
今の服はその「必要」な要素を果たしているだろうか?
という意味で、僕らはファッションの外側にいる。
(ただ、絶対時代性というものがあるので、その部分だけ間違えないようにしているけれど。)
少なくとも僕らは「リーバイスの501®️」のような製品を作りたい。そこに挑戦している。
ワンシーズンだけ着て捨てるようなモノづくりはまっぴらごめんだ。
「無駄なモノ、作ってない?」これは毎回、自らに問いかける、重要な質問だ。

ZARA、H&M、UNIQLO、GAPの服が「ヴィンテージ」と呼ばれるようになるのか?
それは、「ニンゲン中心」ではなく、「マーケティング中心」に作られた服だ。
今や90年代の古着がヴィンテージと呼ばれるようになってきた。
こっから2000年代の古着がヴィンテージと呼ばれるようになるのか?
ちょっと、想像ができないよね。そんなのに価値がつくのかな?
(僕がおっさんになっただけなのかも知れないけど。)
服作りは、モノづくりじゃない。コト作りだ。
そう、「何かをするため」に洋服は存在する。洋服を消費するために存在しているのではない。これが基本的な僕らのスタンスでもあるのです。
まだまだ、お店を移転してパワーアップさせることや、これからリリースするパワフルな製品など、色々語りたい事はつきませんが、相当長くなってしまいそうなので、新年の挨拶として、この辺で。
こんなめんどくさいことを年始から書いていて、お付き合いいただいた方々には本当に感謝しています。
こんな感じで2018年もよろしくお願いします!